AGEsの生成を促進する老化物質を含む糖分は、人間が生存に不可欠な栄養素であり、糖分の摂取は必要です。細胞内に取り込まれた糖はエネルギー源として機能し、それ自体が問題を引き起こすことはありません。問題が生じるのは、細胞外に存在する余剰な糖、すなわち血液中の高血糖状態です。これが糖化のリスクを増大させます。
AGEsの量を減らすためには、糖とタンパク質の接触を制限することが重要です。まず、急激な血糖値の上昇や持続的な高血糖状態を予防することが対策となります。
食事において糖化を防ぐ
血糖値の急激な上昇を避けるために、GI(グリセミック・インデックス)値の低い食品を選ぶことが重要です。GI値が低い食品は血糖値の上昇が緩やかで、逆にGI値が高い食品は急激な上昇を招きます。例えば、白米を玄米に、パスタを全粒粉に変えることで、低GI値の食品を選ぶことが糖化の抑制につながります。
・食物繊維を意識して摂る
野菜やキノコ、肉や魚などのたんぱく質を先に摂り、最後に炭水化物(白米やパン)を摂ると、食物繊維が豊富なものから順に摂取することができ、血糖値の急激な上昇を緩和できます。
・十分に噛んでゆっくりと食べる
急いで食べることは血糖値の急激な上昇を招きます。ゆっくり噛んで時間をかけて食事をすることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
・1日3食を確保する
1食を抜くことで、次の食事の後の血糖値が急激に上昇する傾向があります。欠食を避け、1日3食をしっかり摂るようにしましょう。
・AGEs含有量の高い食品を避ける
AGEs含有量が多い加工肉や揚げ物、チーズなどを控え、代わりに魚や野菜、果物を重点的に摂ることで、AGEsの摂取を抑制できます。
・高温調理を控える
高温での調理はAGEsの生成を増加させる可能性があります。焼く、炒める、揚げるよりも茹でる、蒸すといった調理方法を選ぶことで、AGEsの摂取を減らすことができます。
糖化の進行が急速に進む温度は約155°Cとされており、電子レンジでの調理は焦げ付かないものの、短時間で高温加熱されているため、焦げ目がついている場合は同様の状態となりますので、注意が必要です。
このように、調理によって食品中のAGEsが生の状態よりも増加することが分かります。ただし、食品に含まれるAGEsがすべて体内に取り込まれるわけではありません。体内に取り込まれる割合は約10%であり、そのうち7%前後が長期間体内に留まると考えられています。
日常生活での糖化予防策
・食後の運動
食事が最も効果的な糖化対策である一方で、日常生活で簡単にできる予防策も存在します。例えば、食後の運動が挙げられます。食後1時間が血糖値の最高ピークであり、そのうち食事後15分以内に急激に上昇します。そのため、食後直ぐに軽い運動をすることで高血糖を抑え、AGEsの生成を抑制することができます。ウォーキング、踏み台昇降、軽いスクワットなどを試してみると良いでしょう。
・筋肉量を増やす
血糖値の上昇が抑制される効果があります。
摂取された糖質は肝臓でグリコーゲンに変換され、肝臓や筋肉に蓄積されますが、筋肉量が増えるとグリコーゲンの貯蔵量も増加します。これにより余分な糖が出にくくなり、血糖値の上昇が抑えられます。大きな筋肉群を鍛えるスクワット運動などが効果的です。
・禁煙
タバコの煙はAGEsの増加に関連しています。自身が吸うだけでなく、周囲の副流煙も摂取することで、短時間でAGEsが増加すると報告されています。
美肌を保つ生活習慣で糖化を防ごう 糖化の進行を防ぐためには、食事や日常生活での予防策がありますが、既に体内に蓄積されているAGEsを分解・排除する確立された方法はまだ存在しません。ただし、研究段階ではAGEsを分解する可能性のある物質が見つかっており、将来的には老化に寄与する体内のAGEsを解消できる可能性もあります。
「体のサビ(酸化)」と「体のコゲ(糖化)」、これら二つは肌の弾力を低下させ、肌の老化を促進します。どちらも食事を通じた内側からのケアで防ぐことができます。
美肌を追求するためには、スキンケアに加えて“美肌づくり=健康な体づくり”が重要です。肌の美しさと健康は相互に関連しており、不健康な食事や生活習慣は肌に影響を与えます。老化は避けられませんが、進行を抑制することは可能です。自身の生活習慣を見直し、美肌づくりに努めましょう。